• 熊川宿若狭美術館ボランティアの会メンバーと制作に励む長谷さん(右)=28日、若狭町熊川の同館
  • オープニングトークに参加する(左から)長谷さん、河口さん、大山さん、渡部さん
熊川宿若狭美術館ボランティアの会メンバーと制作に励む長谷さん(右)=28日、若狭町熊川の同館

 優れた芸術文化に触れられる「熊川宿若狭芸術祭」が9月28日、若狭町の熊川宿で始まった。10月9日までは熊川宿若狭美術館で、県内外の現代美術作家3人が「臨場」をテーマとした新作を公開制作する。初日はそれぞれが構想を形にし始めた。

 同祭は、国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)に選ばれている熊川宿を世界の文化交流拠点地域にしていこうと、県と県文化振興事業団、若狭町が初めて開いた。

 公開制作は同館を運営するNPO法人「若狭美&Bネット」の協力を得て実施。筑波大名誉教授で金沢美術工芸大名誉客員教授の河口龍夫さんと福島県葛尾村を拠点に活動する大山里奈さん、同館長の長谷光城さんが12日間にわたって取り組む。完成までを公開し、慶大アート・センター教授で美術評論家の渡部葉子さんが制作過程を観察し文章で記録にまとめる。

 長谷さんは若狭町の少子高齢化などの社会構造を表す作品を考えているといい、28日は同館ボランティアの会メンバーと厚紙の切断を進めていた。河口さんは自身の毎日の脈拍を基に絵画や立体作品を仕上げるという。大山さんは若狭町内を中心とした海や川、湖の水で、採水場所の写真が印刷された和紙をにじませる作品に取り組む。

 28日はオープニングトークがあり、長谷さんは「どういう風にできていくかを作家と一緒に見ることができる機会はなかなかない。完成しても身近に感じてもらえるのでは」と話していた。

 完成作品は10月13日~11月20日に同館で展示する。10月28日には宿内の覚成寺で、東京フィルハーモニー交響楽団コンサートマスターのバイオリニスト近藤薫さんらによるコンサートがある。同29日は同館などで主催者、地元関係者と、海外から招いた美術関係者らの交流会を予定している。

 同館は10月9日までは入場無料で無休。午前10時~午後4時に開館する。最終日は同2時まで。

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