拡大された昭和初期の小浜の鳥瞰図を眺める内覧会来場者=28日、小浜市の県立若狭歴史博物館

 福井県小浜市の県立若狭歴史博物館の特別展「近代若狭観光史」(福井新聞社後援)が9月29日から同館で開かれている。蘇洞門が描かれた江戸時代の絵巻や、大正・昭和期の絵図やパンフレット、観光土産など展示品約230点が並ぶ。11月5日まで。

 西国三十三所霊場の道筋にある若狭路は、巡礼者が道中にある名所に立ち寄ったといわれる。神明神社(小浜市青井)が所蔵する「木造 八百比丘尼坐像」(江戸時代)は、江戸時代の旅の記録にも登場し、多くの巡礼者も鑑賞したとみられる。小浜藩主・酒井家のためにつくられたとみられる長さ約7メートルの県指定文化財・小浜城下蘇洞門景観図絵巻(江戸時代)の解説では、当時の紀行文に蘇洞門が登場せず、この時代まだ庶民が手軽に行ける「観光地」ではなかったと紹介している。

 若狭の海水浴場をアピールした大正・昭和期の観光パンフレット、絵はがきからは、若狭が京都や大阪の海水浴客の訪問先としてにぎわっていたことがうかがえる。会場の床には、昭和初期に描かれた旧小浜町(現小浜市)などの鳥瞰(ちょうかん)図を拡大し展示。現在復元されている芝居小屋「旧旭座」が記されているほか、現在はなくなったスキー場も描かれている。

 観光にまつわる土産品も多数展示。ペナントやキーホルダーのほか、県や嶺南各地の観光協会などが作製した観光ポスターなど、懐かしさを感じさせる展示もある。

 午前9時~午後5時。10月10日、23日は休館。期間中、展示の一部入れ替えがある。一般400円、高校、大学生300円、小中学生200円。10月1日は神奈川大国際日本学部の山本志乃教授の記念講演がある。問い合わせは同館=電話0770(56)0525。

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