9月16日に開幕した若狭地方最大の秋祭り「放生祭(ほうぜまつり)」は17日に最終日を迎え、小浜市中心部を熱気に包んだ。出番区が市まちの駅・旭座付近に順に集まり、山車(やま)、大太鼓、獅子、神楽の出し物を披露。出し物同士が共演するさまは壮観で、祭りばやしが見物客を楽しませた。
今年の出番区は▽山車=清滝、今宮、飛鳥、酒井、浅間▽大太鼓=広峰、住吉▽獅子=玉前▽神楽=神田、白鳥、白鬚の11区。2日間かけて八幡神社や各区の本陣などで出し物を披露した。
まちの駅付近では午後1時ごろ、神田区の神楽を皮切りに各区の一行が訪れ、出し物を大勢の見物客の前で披露した。大太鼓を担当する住吉・広峰の両区は、男衆による勇壮な棒振りと鉦(かね)の音を響かせ、両区同士での大太鼓の打ち合いをみせた。明確な勝ち負けはないものの「俺たちが一番だ」と言わんばかりの力強いバチさばきを繰り広げた。
同2時ごろになると、子どもたちや大人を乗せた高さ約5メートルの山車4基が集結。小太鼓や笛の音色を響かせながら山車ごとにおはやしを披露した。クライマックスは、山車同士が向かい合っての共演。おはやしのテンポが徐々に上がり、子どもたちが山車の上から元気な掛け声を出すと、周りの見物客はスマートフォンやカメラで写真に収めていた。
各区は夕方ごろまで巡行し、街中をにぎわせた。神楽を担当する白鬚区は巡行はしないものの、16日夜に八幡神社で巫女(みこ)の舞を奉納した。
4区の山車が20年ぶり集合
約80年ぶりに各区の山車が今宮区内の道路に集合してから、集結共演に向かう珍しい光景が広がった。12時半ごろから、浅間、今宮、酒井、清滝区の並びで一堂に集合。山車が直線に並び、見物客を圧倒した。
昨年までは一度区の本陣に戻り、そこからまちの駅・旭座付近に移動していた。若狭路博を記念して20年前にも1度、JR小浜駅からまちの駅に向かう道路上に集合した。祭りがいったん休止となった1940年までは今宮区に集合しており、戦後に再開して以降、集合する慣習が無くなったという。
祭礼委員会の会長は「かつての様式が復活し、感慨深い。来年以降も継続していきたい」と話した。(横畑俊介)
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