福井県高浜町宮崎の日蓮宗妙長寺に残る古文書をまとめた町郷土資料館のミニ企画展「妙長寺文書の世界」が9月29日まで、高浜公民館で開かれている。戦国、江戸時代の権力者が妙長寺に宛てた文書など7点を通し、当時の時代背景などを知ることができる。
妙長寺は日蓮宗本圀寺(ほんこくじ)派の寺院で、1493(明応2)年に日意(にちい)が開創したと伝わる。長源寺(小浜)の末寺であり、若狭の主要な日蓮宗寺院の一つ。
展示では戦国、江戸時代の高浜領主が妙長寺への禁止事項をまとめた「禁制(きんぜい)」を紹介。軍勢の乱暴狼藉(ろうぜき)から寺を守るために▽略奪・暴行、竹や木の無断伐採をしない▽寺で寄宿をしない▽税をかけない―の3項目が書かれている。江戸時代の平和な世になると禁制の役割は形骸化し、寺が既得利権を領主に認めてもらうために発行を求めていたことが分かる。
妙長寺住職が日蓮宗大本山・本圀寺(京都)に「永代聖人(えいだいしょうにん)」と名乗るための許しを求めた許状は、二つの寺の関係性がうかがえる史料。開祖・日蓮の布教を促す文書や、紺紙に金泥で書かれた法華経もあり、貴重な展示となっている。
17日休館。午前9時~午後5時。9日には、歴史講座「妙長寺文書の魅力と法華宗の歴史」があるほか13、23日にはギャラリートークがある。町郷土資料館=電話0770(72)5270。