福井県おおい町内の山城や遺跡、古墳の発掘調査で見つかった出土品を紹介する二つの展示が9月24日まで、町立郷土史料館で開かれている。土器や狩猟・漁猟用の石器など約80点が並び、縄文、古墳、戦国時代にわたる当時の生活や文化が垣間見える展示となっている。

 「石山城跡発掘調査成果展」では、戦国時代の若狭武田氏の家臣・武藤友益(ともます)が居城にした石山城(同町石山)の町教委による発掘調査(2019~23年度)をパネルなどを交え紹介。昨年9月~今年8月の調査で新たに見つかった土器片10点を展示している。染付碗(そめつけわん)や白磁碗(はくじわん)といった食器からは、山城が有事のみならず日常生活で使われていたことが分かる。

 「岩の鼻遺跡・坪の内古墳出土品展」では、名田庄三重の南川沿いにあった縄文時代の岩の鼻遺跡、名田庄下の山裾に位置する古墳時代の坪の内古墳について紹介。1968年ごろの発掘調査で見つかった石器や鉄製品など66点を並べている。

 展示資料は「岩の鼻遺跡館」(名田庄三重)で公開されていたが、昨年9月に閉館。資料の一部を町立郷土史料館が保管し、石山城跡の成果展に合わせて展示した。

 岩の鼻遺跡からは、弓矢の先に付ける石鏃(せきぞく)や漁網におもりとして付ける石錘(せきすい)といった狩猟・漁猟道具が見つかっており、縄文時代の名田庄地域が自然豊かな土地であったことが推察される。坪の内古墳からは、直刀や耳飾りの金環などの副葬品が出土しており、同地域の有力者が埋葬されていたと考えられる。

 両展示は無料。午前9時~午後6時。4~9日、11、19日休館。2日午後1時半から、町総合運動公園内の悠久館で歴史講座「若狭・越前・北近江の山城と石山城、考察」がある。問い合わせは町立郷土史料館=電話0770(77)2820。

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