高浜ゆかりの禅僧が残した水墨画や禅語をしたためた書など約30点が並ぶ夏季企画展=高浜町文化会館

 禅宗文化の礎を築いた高浜ゆかりの禅僧に着目した福井県高浜町郷土資料館の夏季企画展「若狭高浜と禅宗の広がり」が9月3日まで、同町文化会館で開かれている。同町出身の釈宗演(1859~1919年)をはじめ、5人の禅僧が残した水墨画や禅語をしたためた書など約30点を展示している。

 釈宗演は、1893年米シカゴで開かれた万国宗教会議に日本代表として出席し、世界中に「ZEN」を広めるきっかけをつくった臨済宗の僧。会場に展示されている水墨画「達磨(だるま)画賛」は、宗演が禅宗の開祖である達磨大師を描いたと伝わる。絵に書き添えられた「喝」の文字は臨済宗の代名詞である一喝する声の総称で、同宗の開祖・臨済義玄(りんざいぎげん)の可能性もあるという。

 宗演の師で親戚の越渓守謙(えっけいしゅけん)(1806~84年)が残した二幅一対の水墨画もあり、七福神の夷子(えびす)と大黒が描かれている。

 禅宗の興隆に大きく寄与した僧として、おおい町の儀山善来(ぎさんぜんらい)(1802~78年)も紹介。11歳のときに長福寺(高浜町)で得度し、法系からは守謙や宗演らを輩出するなど、高浜との関わりの深さをパネルで伝えている。展示品では、悟りの境地を表す禅語「天下太平春(てんかたいへいのはる)」などをしたためた書を並べている。

 他にも、守謙に師事した虎関宗補(こかんそうほ)(1839~1903年)、絵師・伊藤若冲に師事した維明周奎(いめいしゅうけい)(1731~1808年)の水墨画も並べている。

 午前9時~午後5時。火曜休館。一般200円。9月2日は学芸員による展示解説がある。問い合わせは町郷土資料館=電話0770(72)5270。

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