戦前に学校で使われていた教科書などが並ぶ特別展=敦賀市立博物館

 福井県敦賀の学校や教育について明治期以降の歴史を紹介する特別展「敦賀の学校いまむかし」は9月10日まで、敦賀市立博物館で開かれている。戦時下の軍国主義的な教育や、戦後になって木造から鉄筋になる校舎の変化、給食食器の移り変わりなどが写真パネルや教科書など約80点の資料からみてとれる。

 全ての子どもが学校で学べる「学制」が1872(明治5)年に発布され、敦賀でも相次いで学校が設置された。学校の始まりから戦前戦後、今後の学校まで6テーマに分け展示している。

 最初期の「改正 小学句読」は朱子学を学ぶ教科書で、書き下しで読めるよう「漢文訓読」で記されている。敦賀で最初に開設された第十七区小学校の朱印が押されている。

 戦前の資料は、巻頭に教育勅語が掲載された教師用教科書のほか、軍用機や日本国旗が描かれた習字ノート表紙が展示され、忠君愛国を柱とする教育の始まりが分かる。戦中の敦賀南尋常小の写真は正門に2本の日本国旗、校舎には「挙国一致(きょこくいっち) 盡忠報国(じんちゅうほうこく) 堅忍持久(けんにんじきゅう)」の標語が掲げられている。

 戦後のコーナーでは粟野や粟野南、中央、敦賀南、中郷、松原、敦賀西など9小学校の空撮写真を展示。敦賀北は1980年、84年、91年の3枚の写真を並べ変遷を知れる。校庭では児童が人文字で学校名を表現してる。

 授業開始などを知らせるチャイムとして「オートベルタイマー」の実物も展示。昭和30年代に粟野中で使われていたという。昭和から平成、現代にかけてアルミから陶器、ポリプロピレンへと変化した食器も見られる。現代では閉校した敦賀北や赤崎、葉原小学校などの記念誌が展示されている。

 藤本悠希学芸員は「昔の学校の資料を見て思い出を語り合ってもらい、未来の学校について考えてほしい」と話している。

 入館料は一般300円、高校生以下無料。毎週月曜休館。

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