故人をしのび灯籠を流す市民ら=16日夕、敦賀市の気比の松原

 先祖や戦没者を供養する灯籠流しが8月16日、福井県敦賀市の気比の松原で行われた。市民らが敦賀湾へと灯籠を流し、波間を漂う淡いろうそくの光を見守りながら、手を合わせて故人を悼んだ。

 例年、「とうろう流しと大花火大会」として行われている。2019年は台風接近、20~21年は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、22年は悪天候のために花火大会は中止となった。今年は5年ぶりに花火大会とともに実施予定だったが、台風7号の影響で花火大会は中止となり、宗教行事である灯籠流しのみが行われた。

 敦賀観光協会が水に溶ける素材で作った灯籠約6千個を用意。薄暗くなり始めた午後6時半ごろ、読経が始まると、集まった市民らが灯籠を海へとそっと送り出した。

 胸まで水につかりながら沖に流れるよう運んだり、スマートフォンで動画を撮影したりする人もいた。17年前に夫に先立たれたという女性は「主人とおばあちゃん(義母)に『ありがとう』と『守ってね』の思いを込めて流した。生きている限り続けたい」と静かに語った。

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