• 昔の教科書や戦中に撮られた貴重な写真パネルなどが並ぶ展示=3日、敦賀市市立博物館
  • 昔の教科書や戦中に撮られた貴重な写真パネルなどが並ぶ展示=3日、敦賀市市立博物館
  • 松尾芭蕉が宿に置いていったとされる竹杖=3日、敦賀市立博物館
  • 蕉翁宿関連資料
昔の教科書や戦中に撮られた貴重な写真パネルなどが並ぶ展示=3日、敦賀市市立博物館

 福井県敦賀の学校や教育について明治期以降の歴史を紹介する特別展「敦賀の学校いまむかし」は9月10日まで、敦賀市立博物館で開かれている。戦時下の軍国主義的な教育や、戦後になって木造から鉄筋になる校舎の変化、給食食器の移り変わりなどが写真パネルや教科書など約80点の資料からみてとれる。

 全ての子どもが学校で学べる「学制」が1872(明治5)年に発布され、敦賀でも相次いで学校が設置された。学校の始まりから戦前戦後、今後の学校まで6テーマに分け展示している。

 最初期の「改正 小学句読」は朱子学を学ぶ教科書で、書き下しで読めるよう「漢文訓読」で記されている。敦賀で最初に開設された第十七区小学校の朱印が押されている。

 戦前の資料は、巻頭に教育勅語が掲載された教師用教科書のほか、軍用機や日本国旗が描かれた習字ノート表紙が展示され、忠君愛国を柱とする教育の始まりが分かる。戦中の敦賀南尋常小の写真は正門に2本の日本国旗、校舎には「挙国一致(きょこくいっち) 盡忠報国(じんちゅうほうこく) 堅忍持久(けんにんじきゅう)」の標語が掲げられている。

 戦後のコーナーでは粟野や粟野南、中央、敦賀南、中郷、松原、敦賀西など9小学校の空撮写真を展示。敦賀北は1980年、84年、91年の3枚の写真を並べ変遷を知れる。校庭では児童が人文字で学校名を表現してる。

 授業開始などを知らせるチャイムとして「オートベルタイマー」の実物も展示。昭和30年代に粟野中で使われていたという。昭和から平成、現代にかけてアルミから陶器、ポリプロピレンへと変化した食器も見られる。現代では閉校した敦賀北や赤崎、葉原小学校などの記念誌が展示されている。

 藤本悠希学芸員は「昔の学校の資料を見て思い出を語り合ってもらい、未来の学校について考えてほしい」と話している。

 入館料は一般300円、高校生以下無料。毎週月曜休館。

江戸時代…芭蕉が残した竹杖 敦賀の盛んな文芸活動

 敦賀を訪れた俳聖・松尾芭蕉の資料や、敦賀での俳諧など文芸活動の広まりを紹介する「江戸時代・敦賀の文芸資料」の特別展は9月10日まで敦賀市立博物館で開かれている。

 「杖措(つえお)きの地」として知られる敦賀は1689(元禄2)年のおくのほそ道の旅で芭蕉が訪れた。4日間ほど敦賀に滞在し、宿泊した出雲屋に竹杖とかさを譲り渡したとされる。

 特別展では竹杖(市指定文化財)のほか、出雲屋を継いだ富士屋が掲げた木の宿額「蕉翁宿(しょうおうしゅく)」を展示。富士屋を訪れた俳人の作品や、幕末に敦賀で俳諧を指導した伊藤如積の短冊などが貼られた「蕉翁宿屏風」、江戸時代中期に活躍した紀楳亭(きばいてい)が描いた芭蕉の肖像画「芭蕉翁肖像」(市指定文化財)も並ぶ。

 このほか、敦賀での芭蕉顕彰活動を盛んにした白崎琴路の白烏集(しろがらすしゅう)(市指定文化財)や、敦賀の本勝寺13世住職、日能上人による俳諧と和歌を短冊に記した日能短冊などもある。

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