• 国内外の美術作家7人が公開制作した作品を並べた展覧会=12日、若狭町熊川の熊川宿若狭美術館
  • 長さ1・1キロの紙に墨線を引いて仕上げた小林さんと来場者の共同制作作品
国内外の美術作家7人が公開制作した作品を並べた展覧会=12日、若狭町熊川の熊川宿若狭美術館

 国内外の美術作家が福井県若狭町の熊川宿で公開制作した作品の展覧会が、熊川宿若狭美術館などで開かれている。来場者と一緒に作った平面作品や、アーティストの感性を存分に生かした立体作品が並ぶ。10月6日まで。

 県と県文化振興事業団、若狭町、同館を運営するNPO法人「若狭美&Bネット」、若狭熊川宿まちづくり特別委員会でつくる実行委が主催する「第3回熊川宿若狭芸術祭」(福井新聞社後援)の一環。「臨場」をテーマに、芸術祭初の外国人参加で建築家のテオ・ムザールさん=フランス、デザイナーのマリーヌ・ロワイエさん=同、現代美術作家の小清水漸さん=兵庫県、長谷光城さん=若狭町、小林雅代さん=同、障がい者アーティストの黒鉄さん=鯖江市、藤原孝さん=小浜市=が8月21~31日、町内に滞在して制作した。

 小林さんは、熊川宿の街道の距離に当たる長さ1・1キロの紙を用意し、紙に墨線を引く作業を来場者と取り組んだ。街道散策の足跡を意識し、線を点状にしたり、カーブさせたりと自由な発想で墨線をつなげた紙を束にして展示している。長谷さんは、20年間行ってきた幼児絵画に関する講演の260種類のレジュメを細木で抑え、布で覆った。「今年から新たなことに挑戦しようという強い思いを作品で表現した」と語る。

 黒鉄さんの「秘密基地」は、段ボールや紙粘土を使い、独特の感性と世界観によって作り出した立体作品。藤原さんは自身の障害の主治医をテーマにした。樹脂絵の具による繊細な色使いで、主治医の子どものころの姿をユニークなキャラクターとして表現した。

 小清水さんは、作品名を「絶賛大放出荷電粒子」「雨か霰(あられ)か」などとし、想像をかき立てる抽象作品を展示。ムザールさんとロワイエさんは、熊川宿若狭美術館近くの古民家への引っ越しをコンセプトに、ケヤキ材で椅子や机を制作。住民や来場者らと交流し、人々が集う場を作品にした。金津創作の森館長の野田訓生さんが制作過程を観察し、写真や文章でまとめた記録も展示している。

 20日午前11時から同美術館内で、東京フィルハーモニー交響楽団コンサートマスターのバイオリニスト近藤薫さんや同事業団の「越のルビーアーティスト」ら5人によるミニコンサートがある。

 開館は金土日月曜と祝日、午前10時~午後4時半。入場無料。

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