空き家を改修して、そば屋の開店を計画している(左から)譲原さん、清水さん、宮脇さん=11日、敦賀市横浜

 敦賀市横浜にU・Iターンした女性3人が空き家を改修して、そば屋の開店準備を進めている。福井の在来種ソバ、集落にわき出る天然の地下水、無農薬で育てた野菜を使った食事を提供し、過疎化が進む集落のコミュニティー拠点にしたいと張り切っている。

 プロジェクトを進めるのは、若狭町気山出身の清水さん、敦賀市横浜出身の宮脇さん、神奈川県から移住してきた譲原さん。

 清水さんは若狭町で家業の建築業に携わり、建築士として住宅の新築やリフォームの設計を手がけてきた。新型コロナウイルス禍を経験して「自然の中で自由に暮らしたい」「水がきれいな場所で飲食店を開きたい」との思いが募ったという。

 物件を探す中で高校時代の同級生の宮脇さんに相談し、横浜にある築60年ほどの空き家を紹介された。宮脇さんも清水さんの熱い思いに触発され、35年間暮らした大阪からUターンを決意。清水さんと4年前にX(旧ツイッター)で知り合った譲原さんも意気投合し、敦賀への移住を決めた。

 福井が全国有数の「そばどころ」で、集落内にわき出るきれいな水を生かそうと、そば屋を開くことを決め、年明けから準備に着手。湿気対策で床材をめくって砂利を敷き詰めるなど、地元住民の助けも借りながらこつこつと作業を進めている。早ければ7月にも開店にこぎ着けたいという。

 オープンに向けた「前段階」として、昨年6月に集落内の別の空き家を改造して売店を開き、菓子や食品、生活雑貨を販売している。店舗には集落のお年寄りが日々顔を出し、交流とだんらんの場になっている。

 横浜区は市街地から車で約20分。約70世帯で高齢化が進む。神奈川県から移住してきた譲原さんは「目の前にはきれいな日本海が広がり、夜は静かで、夏はホタルの光がまばたく。人は温かく、居心地の良い場所」。そば屋では地元の野菜や総菜の販売も計画し、3人は「村の『核』として、集落の人はもちろん、遠くからも訪れてくれる場所になれば」と話している。

 店舗の設備費などに充てる資金をクラウドファンディングで募っている。詳細はウェブサイト(「空き家を蕎麦屋に!」で検索)で確認できる。

(※福井新聞社提供。無断転載を禁止します。記事に関するお問い合わせは福井新聞社へ。)