• 米澤市長(左)に武田耕雲斎の刀の解説をする佐藤さん=21日、敦賀市役所
  • 天狗党烈士の墓前にある武田耕雲斎の像を見る佐藤さん=22日、敦賀市松島町
米澤市長(左)に武田耕雲斎の刀の解説をする佐藤さん=21日、敦賀市役所

 福井県敦賀で160年前に斬首された水戸天狗(てんぐ)党の烈士を慰霊しようと、長野県松本市の刀剣収集家、佐藤さんが2月21日、天狗党首領の武田耕雲斎らのものとされる刀5振りを手に敦賀市を訪れた。2日間滞在し、烈士の眠る墓地では手を合わせ、「ゆくゆくは敦賀の人たちにも刀を見てもらいたい」と話した。

 持参したのは、耕雲斎のものとされる3振りと、天狗党幹部田中愿蔵のものとされる1振り、新撰(しんせん)組副長土方歳三のものとされる1振り。愿蔵の刀は佐藤さんが2022年にオークションで手に入れた。翌年に耕雲斎の刀の所有者と知り合いになり、今回、刀を借りて持参した。

 天狗党は水戸藩の一派で、尊王攘夷の志を朝廷に述べようと筑波山で挙兵し、京都を目指した。西上中、長野県では幕府側の高島・松本両藩との「和田嶺合戦」が起こった。持参した耕雲斎の刀はいずれも、宿泊のお礼にと長野県阿智村の宿に置いていった刀だという。

 佐藤さんは21日に市役所を訪れ、米澤光治市長に刀の特徴などを熱弁した。米澤市長は緊張した面持ちで刀を手にし、「敦賀には天狗党関連で残されているものが特にない。(展示などの)機会があればお世話になると思う」と話した。

 22日は同市松島町の国史跡「武田耕雲斎等墓」を訪問した。耕雲斎の像と対面し、「幕末烈士のりりしさを感じる」と感慨深げ。天狗党の子孫らを招いて毎年秋に松原神社で開かれる例大祭にも触れ、「耕雲斎の子孫らに先祖の刀を持ってもらいたい」と語った。

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