1年の豊漁と豊作を占う国指定重要無形民俗文化財「夷子(えびす)大黒綱引き」が1月19日、福井県敦賀市相生町の旧西町通りで行われた。通りを埋め尽くす大勢の見物客が見守る中、今年は夷子方が勝ち、「豊漁」と出た。
旧西町に400年以上前から伝わる敦賀の冬の風物詩。地元の漁業や農業関係者だけでなく見物客も綱を引くことができ、東の夷子方が勝てば豊漁、西の大黒方が勝てば豊作になるとされている。
今年は、夷子神役を敦賀商工会議所の有馬茂人副会頭、大黒神役を地元の力野豊県議が務めた。2人の衣装の着付けが終わると、「夷子勝った、大黒勝った、エンヤ、エンヤ、エンヤ」と威勢のよい掛け声が響く中、通りを練り歩いた。
通りの中央に設けられたお立ち台に2人が到着すると、軒下につり下げられていた長さ50メートル、直径25センチの大綱が投げ下ろされ、綱引き開始。漁業、農業関係者をはじめ見物客も加わり、力いっぱい引き合い、1分足らずで決着が付いた。
夷子神役の有馬副会頭は「天気に恵まれ、例年以上の人出でにぎわって良かった。港の関係者みんなで力を合わせて町を盛り上げていきたい」と笑顔を見せた。敦賀西町の綱引き伝承協議会の木下章会長は「今年1年、敦賀の豊作と豊漁を祈願したい。地域の大切な事業としてこれからもしっかりと継承していきたい」と話していた。
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