福井県内で昨年12月、寒ブリが歴史的豊漁となった。県海洋資源研究センター(敦賀市)によると、同月の漁獲量は702トン。統計が残る1992年以降で最多で、同年から2023年までの32年間の同月平均の21倍となった。日本近海でブリの資源量が多い状態にあることが要因と考えられるという。
同センターによると、ブリは県内では主に定置網漁で漁獲される。春から夏にかけて東シナ海から北海道付近へ北上し、冬に福井県沖を南下する。冬季はブリの通り道となっている若狭湾での漁獲がほとんどという。
寒ブリの県内漁獲量は近年、多い年が続いていて、12月は20年に90トンで過去最多を記録すると、翌21年は100トンに更新。22年は47トンだったが、23年は250トンとなり、24年はさらに2・8倍となった。1992~2023年の平均は33トン。翌1月との合計でも、今季は12月分だけで昨季の601トンを上回り、既に過去最多となっている。
同センターによると、ブリは暖かい環境を好む。日本近海の海水温は20~30年の周期で低い時期と高い時期を繰り返しており、1990年ごろからは暖かい状態が続いている。そのため、ブリが生息できる環境が広がり、資源量が増えたとみられるという。富山や石川、京都でも今季は豊漁となっている。
美浜町の日向定置網漁業組合は昨年10月中旬に漁を始めた。1月末まで続くが、20日現在で約4万7千匹を水揚げした。1978年の組合発足以降で最多の水揚げ量となった昨季の約5万2千匹に迫る勢いで、組合長は「1月は天気が悪く漁に出られない日も多いが、シーズン通しては順調だ」とうなずいた。
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