北陸新幹線開業に合わせて昨春復活した福井県敦賀の地酒「月きよし」が今シーズンも販売される。敦賀の新たな酒として1年目から反響が大きかったため、今季は生産量を約2倍に拡充する。新幹線開業1周年を迎える3月16日から通常商品が店頭に並ぶのに先立ち、限定商品の生酒(200本)が2月末から売り出される。販売予約受け付けが市小売酒販組合加盟店舗で始まった。
プロジェクトは、敦賀唯一だった酒蔵が2005年を最後に酒造りをやめて失われた地酒の復活を目指し22年7月にスタートした。市の第三セクター港都つるがや観光協会、飲食業者、酒販店、農家ら7人が出資し、参画している。
酒米は、野坂岳の伏流水が注ぎ込む敦賀市山泉の田んぼで育てた「五百万石」を使用。商品名「月きよし」は、1689年に松尾芭蕉が「おくのほそ道」の旅で気比神宮を参拝した際に詠んだ「月清し遊行のもてる砂の上」の句から採用している。
昨年3月16日に開催された北陸新幹線開業記念イベント「つるが街波祭(まちなみさい)」の鏡開きで使われた後、酒販店で順次販売が始まり、6月ごろには早々と完売した。その後も各店舗には問い合わせが多数寄せられたという。
今季は1月半ばに小浜市の酒造会社「小浜酒造」で仕込み作業を行い、4合瓶(720ミリリットル)では2400本分の出荷を予定している。そのほか1升瓶サイズも用意する。
2月24日ごろから販売を予定している限定商品は、火入れをせず、通常の日本酒よりフレッシュな味わいを楽しめる「無濾過(ろか)しぼりたて生酒」で4合瓶1760円(税込み)。取り扱い店舗は「敦賀の地酒復活プロジェクト」のフェイスブック(FB)ページで確認できる。
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