• 「市民の憩いの場となる銭湯を開きたい」と事業承継した竹内さん=敦賀市津内町1丁目のつるが湯
  • 昭和期のレトロ感を残すつるが湯=敦賀市津内町1丁目
「市民の憩いの場となる銭湯を開きたい」と事業承継した竹内さん=敦賀市津内町1丁目のつるが湯

 昭和期に創業し、4年前に閉業した銭湯「敦賀温泉」(福井県敦賀市津内町1丁目)が「つるが湯」として8月に営業再開した。銭湯好きで市内で不動産業を営む竹内さんが「長年、市民に親しまれていた憩いの場を復活したい」と前オーナーから事業を承継。レトロな雰囲気を残しつつサウナを新設し、幅広い年代に足を運んでもらうことを目指している。

 県浴場組合によると、1959年には県内に145軒の銭湯があった。敦賀市内では76年に10軒を数えていたが、家庭風呂の普及や燃料費高騰などにより次々と姿を消していった。現在、県内でわずか13軒、市内ではつるが湯のほか、津内町2丁目でサフラン湯が営業している。

 敦賀温泉は、前オーナーの高齢化や後継者不足などを理由に閉業。昨年11月、竹内さんが敦賀温泉を久しぶりに訪れると、閉業の張り紙が貼ってあった。「子どもの頃、両親とよく一緒に行った思い出の場所がなくなり残念」に思ったという。

 銭湯が好きで、サウナや銭湯を開業できる場所を以前から探していたこともあり、その場で張り紙に記載された前オーナーの番号に電話。事業承継の思いを伝えると「昔から続いていた銭湯を守ってほしい」と承諾され、復活へ動き出した。

 国の補助金や県の奨励金を活用し、今年4月から浴室外の壁や床をリフォーム。水風呂や市内のサウナ代理店から購入した北欧ブランドのサウナルームも設置した。レトロ感を出そうと、昔の広告が貼られた鏡やタイル張りの湯船は手を付けずそのままにした。

 若い市民らも多く訪れ、近くに住む女性は「若い人の力で市民に親しまれた銭湯が復活してくれて本当によかった」と喜んでいる。

 竹内さんは「市民らに受け入れられている安心感がある。長く続け、何十年先も残る銭湯を目指したい。銭湯にあまりなじみのない若者や訪日客にも足を運んでもらいたい」と力を込めた。

 営業は金、土、日曜。大人(12歳以上)は平日400円、休日490円。中人(6歳以上12歳未満)は、平日休日とも160円、小人(6歳未満)も同70円。時間は午後5時~午前0時。

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