
グッドデザイン賞大賞を受賞したジャクエツの田嶋さん(前列右から2人目)=5日、東京・有明の東京ガーデンシアター
グッドデザイン賞大賞に輝いたジャクエツのプロジェクトで開発された遊具
国内で今年最も優れたデザインに贈られる「2024年度グッドデザイン賞」の大賞が11月5日発表され、遊具製造販売のジャクエツ(福井県敦賀市、徳本達郎代表取締役CEO)の、健常児も障害児も医療的ケア児も一緒に遊べる遊具の開発プロジェクトが受賞した。福井県内企業の大賞受賞は初めて。
プロジェクトは、県内外の若者らとパートナー企業が新事業創出を目指す福井市の実践講座「Xスクール」が出発点となった。
同賞は日本デザイン振興会が毎年実施し、本年度は全国から5773件の応募があった。専門家らの審査を経て1579件がグッドデザイン賞に選ばれ、うち20件が金賞(経済産業大臣賞)を受賞。さらに審査員と受賞者による投票で、金賞の中から大賞(総理大臣賞)1件を決めた。
ジャクエツの「RESILIENCE PLAYGROUND プロジェクト」は、同社の遊具デザイナー田嶋さんがリーダーを務めた。
田嶋さんは、2020年のXスクール受講をきっかけに、医ケア児の支援を行う福井市の一般社団法人「オレンジキッズケアラボ」(紅谷浩之代表)の協力を得て、スクールの仲間と実現化を進めてきた。医ケア児とともに遊んで様子を観察したり、保護者の意見を聞いたりする地道なリサーチを継続。「医ケア児・障害児向け」からさらに発想を広げ、赤ちゃんからお年寄りまで「すべての人が遊べる遊具」を目指した。
安全面の懸念から反発もあった社内を説得し、わずかな力で動かせるゆりかご状のブランコなど三つの遊具を開発。22年から販売を開始し、これまでに全国の幼稚園や商業施設などに130基以上が設置されている。
大賞発表と表彰式が都内で行われ、田嶋さんは「医ケア児は遊べなくても仕方ないという、世の中の“当たり前”は更新できることが分かった。今回の取り組みが、だれもが好きなように遊べて幸せを感じられる、次のやさしい社会を育てるデザインの起点になってほしい」と会場に訴えた。
齋藤精一・審査委員長は「ジャクエツの取り組みは、福祉とデザインの融合はもはやニッチではないことを先駆けて具現化した素晴らしい事例」とたたえた。
Xスクールは福井を起点に都市と地方の新たな関係性を築く福井市の「ふくい魅える化プロジェクト」の一環。16~22年度に開かれ、福井新聞社が協力団体を務めた。
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