敦賀湾と琵琶湖を結ぶ運河計画に関する史料が展示されている特別展=敦賀市立博物館

 福井県敦賀市立博物館で特別展「日本横断 運河計画」が開かれている。古くは平安時代から幾度も練られてきた、敦賀湾と琵琶湖を結ぶ運河構想について、80点あまりの史料を通して紹介。海上交通の要衝として栄えた敦賀の歴史をうかがい知ることができる。11月24日まで。

 敦賀で運河計画を最初に試みたのが平清盛で、その息子、重盛は敦賀に運河を掘りにきたという伝説が敦賀には残っている。江戸時代初めに書かれた「若州三方郡佐柿國義籠城記」には、重盛が3年滞在して運河を掘ろうとしたという記述があるという。

 幕末には、瀬戸内海を航海して大坂を目指す「西廻(まわ)り航路」の経由地だった下関が動乱で機能しなくなり、食糧や荷物を安全に上方に運ぶため敦賀からの運河計画が検討され、幕府の許可を受けて加賀藩から測量集団が敦賀に派遣されたという。展示された精密な絵図からは当時の高度な測量技術を確認できる。

 近代に入り、1960年代には琵琶湖を経由して伊勢湾までつなぐ「日本横断運河」の建設促進期成同盟会が結成され、会長に当時の大野伴睦・自民党副総裁、副会長に北栄造福井県知事が就任。政府予算で年間1千万円を超える調査費まで付いた。特別展では当時の調査内容や経費など計画の概要が示されている。

 学芸員は「古来、敦賀を起点とした運河計画が何度も描かれてきたことからも、交通の要としての位置づけが再認識できる。各時代の人々が運河計画に託した夢や希望を感じ取ってもらえれば」と話している。入館料300円、高校生以下無料。休館日は毎週月曜(11月4日除く)と11月5日。

 気比史学会による市民歴史講座「敦賀~琵琶湖運河計画と琵琶湖の新田開発」が11月16日午後2時から市立図書館で開かれ、大津市歴史博物館の杉江進館長が講師を務める。参加費200円。

(※福井新聞社提供。無断転載を禁止します。記事に関するお問い合わせは福井新聞社へ。)