北陸新幹線敦賀開業を記念した企画展「美浜と軽井沢の不思議なご縁~旧三笠ホテルと美浜の実業家・山本家~」の後期が、福井県美浜町若狭国吉城歴史資料館で開かれている。長野県軽井沢町の国重要文化財「旧三笠ホテル」の創業者、山本直良(なおよし)の父である若狭国佐柿村(現美浜町佐柿)出身の実業家、山本直成(なおしげ)が美浜に残した遺産などを紹介している。10月14日まで。
直成(1838~1915年)は岩倉具視の政治活動を支えた小浜藩士で、実業家として大隈重信や渋沢栄一ら政財界の要人と交流した。直良(1870~1945年)は直成の次男で、父が軽井沢に購入した広大な土地を活用し、避暑地としての発展を見据えた開発事業の中心として三笠ホテルを開業させた。
企画展前期では、同ホテルの歴史にスポットを当てた。7月27日から始まった後期では、直成のルーツやゆかりの寺社を紹介している。佐柿の南方に位置する日吉神社は、本殿は小浜藩主の酒井忠勝が、拝殿は直成が建立したと伝えられている。同神社の西方に位置する光称寺は浄土宗の寺院で敦賀市原の古刹(こさつ)、西福寺の末寺。直成を輩出した山本仁右衛門家の菩提寺(ぼだいじ)でもある。墓地には同家の墓があり、直成の名が刻まれている。
29日午前10時からは、若狭国吉城歴史資料館の学芸員による展示解説を兼ねた講演会もある。学芸員は「美浜と軽井沢の歴史を通じたご縁が、観光や産業などあらゆる分野での相互の地域活性化につながれば」と話した。
講演会は定員30人で受講無料。事前に電話かファクスで申し込みが必要。問い合わせは同館=電話0770(32)0050、ファクス0770(32)0057。
(※福井新聞社提供。無断転載を禁止します。記事に関するお問い合わせは福井新聞社へ。)