日本人として初めて国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のトップを務め、難民救済に尽力した緒方貞子さん(1927~2019年)を紹介する企画展が10月1日まで、福井県敦賀市の資料館「人道の港 敦賀ムゼウム」で開かれている。国家の安全保障を超え人間に配慮する「人間の安全保障」を推進した緒方さんの生涯をパネルや映像で説明している。
世界で戦争が起きている今、ポーランド孤児やユダヤ難民を受け入れた歴史がある敦賀市で平和について考えてもらおうと、同資料館が開催。UNHCRや国際協力機構(JICA)、聖心女子大グローバル共生研究所の協力を得た。
展示では、「議論するより実践しなさい、アクションを起こしなさい、しかも今すぐに。人間の安全保障は実践です」など緒方さんが残した言葉を載せたパネルや、緒方さんが貧困地域の子どもたちに水を手渡したり、難民キャンプの学校を訪問したりする写真が並ぶ。「100年後のみなさんへ」の題で、将来の日本が立派な国であることを願う緒方さんのメッセージが書かれたパネルもある。
映像では緒方さんの活動の様子が流れ、従来の難民の定義に当てはまらなかった国内避難民の支援に動いたことや現場主義を貫いたことを説明。小さな身体で重さ15キロの防弾チョッキを身に付け現場に駆けつけていたことから「小さな巨人」と国際社会から呼ばれていたことも紹介している。
入館料は大人500円、小学生以下300円。水曜休館。
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