北陸道の総鎮守、気比神宮の例大祭に合わせて開かれた敦賀まつりは最終日の9月4日、最大の見せ場「山車(やま)巡行」があった。戦国絵巻を再現した絢爛(けんらん)豪華な山車6基が福井県敦賀市中心部の大通りを勇壮に進み、祭りの盛り上がりは最高潮に達した。
山車巡行は江戸時代以前から伝わるとされ、全盛期の幕末には祭りのシンボルとして大小50基近くが町に繰り出したという。戦災で大半が焼失し、当時のもので現存するのは3基のみとなったが、その後、住民有志によって3基が復元された。
正午ごろ、山車は気比神宮の大鳥居前にずらりと並んだ。御所辻子(ごしょのずし)山車を先頭に、金ケ辻子(かねがずし)、唐仁橋(とうじんばし)、東町(ひがしまち)、観世屋町(かんじゃまち)、鵜飼ケ辻子(うかいがずし)の各山車が門前の神楽通り、相生通りを巡行。法被姿の引き手計約540人が「エンヤサーエ」「オイスクデ」と独特の掛け声を響かせながら引き歩いた。
本物の甲冑(かっちゅう)を着けた人形や豪華な水引幕で飾られた山車を一目見ようと、沿道は大勢の見物客でにぎわった。
新幹線開業後初、県外客も興奮
敦賀まつり最終日の4日に行われた山車(やま)巡行では絢爛(けんらん)豪華な6基が市街地を練り歩いた。3月に北陸新幹線が県内開業してから初のまつりで、沿道は大勢の観光客らが埋め、町衆が熱気を込めて山車を引く姿に引き込まれていた。
正午ごろ、気比神宮の大鳥居前に6基が集結。出発式では、大勢の見物客を前に米澤光治市長が「6基が並ぶと華麗にして壮観。巡行を存分に楽しんでください」とあいさつ。つるがの山車保存会の堂田英治会長は「新幹線開業後最初のまつりで引き手のみんなも張り切っている」と述べ、「いざ出陣。エイエイオー」と勇ましい掛け声で参加者を鼓舞した。
大鳥居前を出発した山車はゆっくりと神楽通りを進み、相生通りへ。見物客は声援を送ったり、写真に収めたりしていた。富山県から京都市へ北陸新幹線で戻る途中に敦賀まつりに立ち寄った専門学校生は「敦賀の山車は初めて見たが刀根坂の合戦を表すなど、ご当地色があって興味深い。敦賀はもう少し小さな町だと思っていたけれど活気がありますね」と話していた。
兵庫県から来た藤本さんは「武者人形が飾られている山車は迫力がある。いろんな合戦が表現されているのが見ていて楽しいし、敦賀の歴史を感じる」。敦賀市出身の大阪府の男性は「新幹線が開業し、最近テレビでよく敦賀が取り上げられているので久しぶりに祭りを見たくなって訪れた。華やかですね」と懐かしんでいた。
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