越前焼窯元と若狭塗箸職人の異色タッグによる盃(さかづき)が完成した。厚さ1ミリと極めて薄く作られた器の表面に漆でマーブル模様が施された逸品で、上品な見た目がお酒の味を引き立たせてくれる。職人たちは「越前焼と若狭塗それぞれの魅力を知ってもらうきっかけにしたい」と話している。
タッグを組んだのは、越前焼の伝統工芸士で竜仙窯の岩間さんと、若狭塗箸職人の谷口さん。2人は伝統工芸の新たな可能性を引き出そうと、中小企業診断士や越前焼工業協同組合の協力で商品開発に取り組むことになった。
完成した盃「陶漆 流し紋」には2人の職人技が詰め込まれている。器は岩間さんが越前の粘土を手先で薄くのばし、厚さ1ミリになるよう成形。谷口さんは漆をたらした水面に箸をくぐらせて模様を付ける独自の技法を応用し、漆を塗った器表面に華やかな金の漆でマーブル模様を浮かび上がらせた。
越前焼工業協組によると、薄作りの盃はすっきりとした飲み口が楽しめると人気を集めており、漆を塗ることでなめらかな口当たりが際立つという。
カラーは金の漆が映える黒、赤、緑の3色を用意。谷口さんは「見た目の美しさも相まって、お酒をしっぽりと味わえる盃に仕上がった」と自信を見せる。
盃は1個2万2千円。9月以降、越前町の直売所「越前焼の館」と福井市のハピリン内の「福人喜(ふくにんき)」で販売される予定。
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