小浜藩医・杉田玄白らが出版した「解体新書」刊行250周年を記念した特別展「杉田玄白の挑戦」(福井新聞社後援)が7月20日、福井県小浜市遠敷の県立若狭歴史博物館で始まった。玄白とつながりがある蘭学者や医者が解体新書出版の難事業を成し遂げ、その後どんな影響を与えたのか貴重な69点の展示品でたどる。8月18日まで。
同博物館リニューアル10周年で企画した。
展示では解体新書の基となったオランダ語版の解剖書「ターヘル・アナトミア」のほか、玄白らが1774年に記した解体新書、玄白の弟子の大槻玄沢(げんたく)が改訂した「重訂解体新書」が並ぶ。解体新書には、当時の医学を学ぶ者が赤い字で書き込んだ部分も残り、オランダ医学の教科書として盛んに利用された当時の様子がうかがえる。
出版後、西洋の学問を受け入れる社会に変容し、医師が解剖を行って精密に描かれた解剖図が登場する。展示でも医師が描いた図譜のほか玄白の子、杉田立卿が記した「眼科新書」(1815年)など複数の医学書も展示され、解体新書が日本のその後の西洋医学に大きな働きをしたことが分かる。
会場では子どもにも親しんでもらおうと、解体新書の複製も展示。実際に触って全容を見ることもできる。
会期中無休。午前9時から午後5時まで。一般400円、高校生300円、小中学生200円の観覧料が必要。
7月28日午後2時からは、市働く婦人の家で記念講演会も開かれる。無料。順天堂大の坂井建雄名誉教授が「解体新書は私たちに何をもたらしたか」をテーマに話す。このほか8月10日午後1時半からは市文化会館で「蘭学サミット」も予定している。
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