• 海底から引き揚げられる日本酒=6月26日、小浜市宇久沖の若狭湾
  • 若狭湾で海底熟成させた日本酒。薄い琥珀色になっている
海底から引き揚げられる日本酒=6月26日、小浜市宇久沖の若狭湾

 福井県小浜市宇久沖の若狭湾で“海底熟成”させた日本酒の商品化へ地元漁業者、酒造業者らが準備を進めている。若狭湾で3カ月熟成させ、口当たりが良くまろやかな味わいが特長。小浜の新たな土産品として、7月中の発売を目指す。

海底から引き揚げられる日本酒=6月26日、小浜市宇久沖の若狭湾

 海底熟成は宇久定置網(同市宇久)の浦谷社長が、流通している海底熟成したワインのおいしさに感動し、自分たちでも試してみようと発案。「UMI好きープロジェクト」と称し、地元の小浜酒造(中井)などと協力し、2022年2月から取り組んでいる。

 海底熟成は水温が低く、波の振動などで地上での熟成とは異なる味わいに仕上がるという。22年4月には日本酒やお酢などを実際に海底に沈め、半年ほど熟成させた。試飲会を行ったところ好評だったため、販売に向け準備を進めてきた。

 冬場での熟成を試そうと、今年3月、小浜酒造が醸造した300ミリリットルの日本酒200本を宇久漁港沖合1・5キロ、水深17メートルに沈めた。6月下旬に引き上げられ、透明な瓶から見える酒はうっすらと黄色く色づき琥珀(こはく)色になっていた。熟成期間中は海が荒れた日もあったが、びんが割れるなどもなかった。試飲会では「こんなに味が違うとは思わなかった」「この味なら勝負できる」などの感想が出たといい、浦谷社長は「うれしかった。今後も続けていく気力が湧く」と話す。

若狭湾で海底熟成させた日本酒。薄い琥珀色になっている

 今回引き上げた日本酒は味の違いを楽しんでもらおうと、熟成前の日本酒と併せ、飲み比べセットとして販売する予定。商品名や価格などを検討している段階という。売れ行きによっては増産も検討し、冬場により長く熟成したものも試すという。浦谷社長は「御食国(みけつくに)と呼ばれた小浜の海で地酒がよりおいしくなる。海が持つ未知数のエネルギーを感じてほしい」と話した。

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