明治期から現在までの敦賀の鉄道を紹介する企画展=敦賀市立博物館

 明治時代に北陸地方でいち早く敷設された福井県敦賀の鉄道を紹介する企画展「海湖(うみ)とつながる敦賀の鉄道~終着駅から始まった~」は敦賀市立博物館で開かれている。鉄道開通後の敦賀港の変化や敦賀駅の移転、敦賀以北を結んだ旧北陸線トンネル群などを当時の資料や写真で紹介している。6月16日まで。

 北陸新幹線開業を機に敦賀の鉄道史を振り返ろうと企画した。一部展示を入れ替え計120点を展示する。

 旧北陸線の敦賀-福井間は1896年に開通した。駅員が使っていた「北陸本線各駅配線略図並線路縦断面図」からは、敦賀-今庄間は山地を縫って走る急勾配の線路が続き、一部スイッチバックで傾斜を乗り越えていたことが見てとれる。旧北陸線では、1962年に現在の北陸トンネルが開通するまでは、全13基のトンネルを使用。このうち今も道路のトンネルとして使用されている国登録有形文化財(建造物)の11基などを写真とともに紹介している。

 滋賀県境では、柳ケ瀬トンネルが1884年に完成し敦賀の金ケ崎-長浜間が開通した。敦賀の地誌の教科書では、鉄道敷設の計画について「本港(敦賀港)ヨリ江州米原ニ達スル」などと書かれ、計画では琵琶湖側の起点は、米原と考えられていたことが分かる資料もある。

 初代敦賀駅は当初気比神宮の南に位置し、1909年に農地が広がっていた現在の場所に移転した。展示されている当時の絵はがきには新旧の駅舎の場所を示す地図が記載されている。

 敦賀港は12年に東京と敦賀を結び、敦賀港からヨーロッパへの窓口となる欧亜国際連絡列車の運行が始まった。機能拡大を目的に09~14年に行われた第一次港湾修築工事で鉄道桟橋が整備され、大型船の接岸が可能になるなど、明治から昭和の変化を示す写真も並べている。北陸新幹線に関する資料やグッズもある。

 副館長は「先人の努力の上に今の敦賀の発展がある。当時の鉄道の現場で使われていた資料をぜひ見に来てもらいたい」と話している。入館料は一般300円、高校生以下無料。毎週月曜休館。

(※福井新聞社提供。無断転載を禁止します。記事に関するお問い合わせは福井新聞社へ。)