福井県教委は4月24日、福井市みのり2丁目の専照寺御影堂や鯖江市本町3丁目の誠照寺御影堂・阿弥陀堂、大野市下打波のトチノキ・ケヤキ・イタヤカエデ群生林など9件を新たに県文化財に指定すると決めた。5月中旬に県報で告示する。内訳は建造物2件、絵画2件、工芸品2件、古文書1件、有形民俗1件、天然記念物1件。今回の指定で県文化財は432件となる。
【専照寺御影堂 附 厨子1基】専照寺は浄土真宗三門徒派の本山。江戸時代末期に建築された大規模な御影堂には、親鸞聖人の木像が安置されている。浄土真宗本堂の発達した間取りで、室内装飾も華やか。県内の本山寺院の御影堂で、江戸期の建築は唯一。福井市みのり2丁目。
【誠照寺御影堂および阿弥陀堂 附 厨子2基】誠照寺は浄土真宗誠照寺派の本山。江戸時代に焼失後、御影堂は1877(明治10)年、阿弥陀堂は87(明治20)年に再建されたと伝わる。大規模な御影堂は、浄土真宗本堂として県内で最も整った間取りで、室内装飾も豪華。鯖江市本町3丁目。
【紙本著色 架鷹図 初代橋本長兵衛筆】敦賀の鷹絵の名手、初代橋本長兵衛による江戸時代のびょうぶで、長兵衛の作品で最も古いと考えられる。びょうぶに6面の絵があり、いずれも鷹が描かれている。縦105センチ、横46・7~49・5センチ。敦賀郷土博物館所有。
【絹本著色 沢村吉重像】高浜城主の逸見家に仕え、同家没落後に熊本藩細川家の足軽となり、後に家老を務めた沢村大学助吉重が描かれている。江戸時代に描かれ、武士が出陣する際に支度する様子の肖像画は類例がない。縦82センチ、横41・5センチ。高浜町所有。
【十一面観音懸仏】鎌倉時代後期~室町時代後期の9面あり、大型が大半を占め、懸仏群として県内で最もまとまった形で伝わる。最も古いものは仏師作と思われる秀逸な出来栄えの木彫で、全国的にも数少ない作例。直径53・9センチなど。おおい町福谷の伊射奈伎神社所有。
【聖観音懸仏 元応二年銘】ヒノキとみられる一枚板で鏡板を作る。裏面に墨で1320年を指す「元応二年」と書かれている。県内で鎌倉時代の年号が入った懸仏は貴重で、伊射奈伎神社の木造十一面観音懸仏と表現に相通じる点がある。鏡板の直径19センチ。おおい町岡田の若宮神社所有。
【西野家文書】西野家は府中(現越前市)からの西街道(通称・馬借街道)の終着点に当たる今泉浦(現南越前町)今泉にあった。室町時代中期~明治時代の347点の文書群で、福井県の陸上運送史、海運史、村落史を解明する上で貴重。南越前町所有。
【越前万歳図絵馬】坂井市三国町滝谷の瀧谷寺の観音堂に掛けられた絵馬で、1712(正徳2)年ごろの越前万歳の装束、持ち物を知ることができる。越前万歳は国重要無形民俗文化財で、越前市味真野地区に伝わる新春の祝福芸。縦93・5センチ、横124・6センチ。瀧谷寺所有。
【下打波のトチノキ・ケヤキ・イタヤカエデ群生林】大野市西勝原から約4キロ上流の打波川沿いにある同市下打波の斜面に分布する混交林約6400平方メートル。根元の直径が平均130センチのトチノキ、同88センチのケヤキなど巨木がそろう群生林として価値が高い。下打波生産森林組合所有・管理。