水上さんと生前交流のあった6人の画家の作品が並ぶ収蔵品展=おおい町岡田の若州一滴文庫

 福井県おおい町出身の直木賞作家、水上勉さん(1919~2004年)が収集した絵画を並べた収蔵品展「水上勉の集めた美術の粋」が、同町岡田の若州一滴文庫で開かれている。水上さんと関わりがあった6人の画家が手がけた銅版画や油彩画など51点を展示。作品にまつわるエピソードや水上さんの優れた作品を見抜く審美眼に焦点を当てている。6月3日まで。

 水上さんが集めた約500点の収蔵品から数十点を毎年公開している。

 若狭のかやぶき民家を精巧に表現した銅版画は、高校の美術教師をしていた大西保さん(奈良県)が手がけた。作品の隣に展示した若州一滴文庫の広報誌には、大西さんが生徒と校外学習で同文庫を訪れ水上さんの兄と出会った縁や、水上さんに作品が認められコレクションに加えられたことが書かれている。

 ムラサキシキブの油彩画やタンポポの水彩画は、画家の故金子太郎さん(略歴不明)の作品。自身の野花の絵を見せたのがきっかけで水上さんとの交流が始まった。無名だったが、水上さんが金子さんの作品を本で紹介し収蔵していたことから「価値を認めていたのは間違いない」と同文庫の担当者は話す。

 そのほか、画家の故秋野不矩(ふく)さん(静岡県)が描いた水上さんの小説の挿絵、墨絵画家の島田正治さん(京都府)が一つのランプを約20枚描いた墨絵なども展示。水上さんとのつながりが垣間見える多彩な作品が、訪れた人の目を引いている。

 午前9時~午後5時。入館料は一般300円、高校生以下無料。火曜休館。問い合わせは同文庫=電話0770(77)2445。

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