若手漁師でつくる福井県敦賀市漁村青壮年研究会は、動画投稿サイト「ユーチューブ」や交流サイト(SNS)を駆使して地魚の積極的なPRに力を入れている。ライブ配信で視聴者が参加できる魚の競りを開催するなどユニークな取り組みが評価され、漁業者の全国交流大会で3月、水産庁長官賞を受賞。メンバーは「敦賀の魚のファンを増やしていきたい」と決意を新たにしている。
20~40歳代の漁師約20人が中心となって活動している研究会は、相生町の博物館通りで月1回開かれていた「晴明の朝市」に出店し新鮮な魚介類を販売していたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で2021年3月に朝市は閉場。対面で地魚をPRする貴重な場を失ってしまった。
新たな活動を模索する中、同年7月にユーチューブチャンネル「漁師のお店」を開設。定置網漁の様子や水揚げ状況、おいしい食べ方、船上での活締めなど鮮度を保つ工夫を配信している。普段どのように漁をしているか見てもらうことで、購入者の安心感につなげたいとの思いからだ。
さらにエンターテインメント性を高めようと、22年9月からライブ配信で視聴者に価格を決めてもらう魚の競りを開始。初回は購入者が2人のみで競りにならなかったが、昨年10月の2回目は十数人が視聴し、アコウ3匹で7500円の値を付けるなど競りが成立。今後の収益化に向けて手応えをつかんだ。
ユーチューブでは100本以上の動画を公開し、フェイスブックやX、インスタグラムも開設。ユーチューブのチャンネル登録者数は1400人超、各種SNSのフォロワー数は千人超、動画の再生回数は約60万回となり、徐々に認知度が高まっている。
「動画を通して敦賀の魚の魅力をどんどん発信していきたい。漁師に興味を持つ人も現れれば」と研究会の会長。「敦賀の魚ファン」が増えれば、仲卸業者の売り上げにつながり、水揚げされた魚を高く仕入れることになる。研究会の事務局を担う市漁協総務課の職員は「敦賀全体の漁価が上昇し、漁業収入の底上げにつなげていきたい」と先を見据えている。
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