福井県敦賀市の有志らによる新しい敦賀の地酒「月きよし」が2月28日、完成した。敦賀真鯛(まだい)や敦賀ふぐなど地元の食にも合わせやすい「辛口で、爽やかな後口」に仕上がった。北陸新幹線敦賀開業当日の3月16日、「つるが街波祭」オープニングセレモニーで鏡開きし、振る舞い酒として記念日に花を添える。

 敦賀の地酒は、江戸時代の1624年創業で近年まで敦賀唯一の酒蔵だった敦賀酒造が、2005年を最後に酒造りをやめて廃業したことから失われていた。22年7月、市タウンマネジャー、阿部さんの呼びかけで「敦賀の地酒復活プロジェクト」がスタート。市の第三セクター港都(みなと)つるがや観光協会、飲食店、酒小売店、農業者、漁師らが参画し取り組んできた。

 酒米は「五百万石」を採用し、敦賀富士とも呼ばれる名峰・野坂岳の伏流水が注ぎ込む同市山泉(やましみず)の田んぼ約5千平方メートルで育てた。名称「月きよし」は1689年に松尾芭蕉が「おくのほそ道」の旅で気比神宮を参拝した際に詠んだ「月清し遊行のもてる砂の上」の句からとった。

 1月に蒸した酒米や米麹(こうじ)をタンクに入れていく「三段仕込み」を実施。今月上旬に絞った後、約2週間、濁りを取り除く滓(おり)下げと熟成を進め、2月28日に瓶詰めを終えた。プロジェクト着手から1年半と「超特急、“新幹線のスピード”」(阿部さん)で完成にこぎ着けた。

 完成した「月きよし」はアルコール度数16%、日本酒度はプラス5で「やや辛口」。試飲会が28日、小浜酒造であり、プロジェクトメンバーは「辛口で爽やかな後口。うまい酒になった」「奥に甘味がありつつ、スッと消える感じがいい」「酸味もあり、食事に合わせやすいと思う」と絶賛していた。

 3月16日以降、順次小売店で販売開始される見込み。4合瓶1760円(税込み)。問い合わせは港都つるが=電話0770(20)0015。

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