北陸新幹線福井県内開業日の切符が全国一斉に発売された2月16日、敦賀発東京行き「かがやき」の“一番列車”の切符を購入しようと、県内のJR各駅では鉄道ファンらが列をつくった。寒さに耐え徹夜で並ぶ姿も。4分ほどで完売した切符争奪戦を制した人たちは「幸せ」「当日が楽しみ」と喜びをかみしめていた。
福井市のJR福井駅の「みどりの窓口」前では、徹夜組を含め30人以上が列をつくった。先頭の男性は13日午後7時45分から、2番目の男性は15日午前5時から並んだという。窓口では3台の端末を使い、午前10時を知らせる時報に合わせ発券作業が始まった。
同駅で三日三晩過ごした京都市の男性は、敦賀発東京行きの一番列車「かがやき」の敦賀―金沢間のチケットを第1希望とした。祈るように手を合わせながらその時を待ち、「切符が取れました」と駅員に声をかけられると「やったー」と雄たけび。「一番列車は鉄道ファンのあこがれ。寒くて何度も帰りたいと思ったが、苦労が吹き飛ぶほど幸せ」と声を弾ませた。
一方、窓口にはベテラン職員を配置して対応。端末操作に当たったJR西日本社員は「間違えてはいけないというプレッシャーがあったが、徹夜で待っていた人たちが切符を手にできてほっとした」と話していた。
10人以上が並んだ敦賀市のJR敦賀駅。先頭は同市の丸山さんで、敦賀発東京行きの一番列車の切符を手にした。「敦賀市民として、最初に地元から出る新幹線に絶対乗りたい」と1年前から思っていたという。この日は、3月16日午後4時24分東京発のかがやき511号の最上位シート「グランクラス」の切符も購入できた。「浅草や東京タワーを観光して、シートの高級感を確かめながら帰りたい」と話した。
あわら市のJR芦原温泉駅は、二つの窓口で駅員8人が発券作業に当たり、事前に希望を聞いた13人全員の第1希望の切符が取れた。坂井市の自営業網田さんは金沢開業時に続き今回も同駅の最前列に並び、3人分の切符を手にした。
越前市のJR武生駅でも列ができ、先頭の同市の大久保さんは「妻と2人分の席を往復分で確保できた。うれしいという言葉以外思いつかない」と喜びに浸っていた。
一番列車の切符、早くもオークションサイトに
北陸新幹線開業日の指定席券が発売された16日、インターネットのオークションサイトに「かがやき」の“一番列車”の指定席券が出品された。
同日午後5時現在、ヤフーオークションでは3月16日午前6時11分敦賀発金沢行き「かがやき」の指定席券の出品が2件確認された。1件は3千円で、7件の入札があり8500円となっている。もう1件は1件の入札があり価格は3170円。JRの予約サイトでは敦賀発金沢行き「かがやき」の指定席の通常切符は3170円で購入できる。
このほか、午前6時16分東京発敦賀行き「かがやき」(即決価格1万5千円)、午前8時45分金沢発敦賀行き「かがやき」(価格3170円)の出品もあった。
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