• 迫力のある踊りで田植えを表現する男衆=11日、敦賀市野坂公民館
  • 木の枝を手に田打ち踊りを奉納する子どもたち
  • えぶりさしが登場した子ども組の田植え踊り=11日、敦賀市野坂公民館
  • 福男が登場した大人組の田打ち踊り=11日、敦賀市野坂公民館
  • 田打ち踊りで太鼓を木の枝でたたく男衆=11日、敦賀市野坂公民館
迫力のある踊りで田植えを表現する男衆=11日、敦賀市野坂公民館

 福井県敦賀市野坂に室町時代から伝わる「野坂だのせ祭り」が2月11日に営まれ、耕作や田植えの様子を表現する「だのせ踊り」が4年ぶりに奉納された。地元の子どもと男衆の計26人が、独特な掛け声で太鼓をたたいたり、足を跳ね上げて踊ったりして豊作と農作業の安全を祈願した。

 1994年に県無形民俗文化財に指定された。新型コロナ禍の影響で2021、22年は区内の野坂神社で神事のみ行い、23年は神事と伝統継承に向けた踊りの練習会を実施した。

 午前中に同神社で神事を営み、午後から野坂公民館で踊りを奉納した。子どもと男衆は、「素襖(すおう)」と呼ばれる紺色の衣装をまとい、田んぼに見立てた太鼓を囲み、くわの代わりに持ったチサの木の枝で太鼓をたたく「田打ち」と、苗に見立てたスギの葉を持ち、太鼓の周りで背中合わせに押し合ったり跳んだりする「田植え」の2種類をそれぞれ6人一組で、交互に3回踊った。

 田打ちでは、踊り手は「だーのせーのせーのやー」という大きな掛け声を発しながら太鼓をたたいた。「福の種」とされる米粒を福男が豪快にまいて会場を盛り上げた。田植えでは、男衆らが息を切らして迫力のある踊りを披露。田をならす道具を持った「えぶりさし」や、軽食を運ぶ女性役も登場。踊りが終わるたびに、子どもや来賓を胴上げし、会場は終始にぎやかな雰囲気に包まれ、住民らを楽しませた。

 初めて参加し、えぶりさしを演じた粟野小3年の児童は「動きが難しかったけど上手にできた。伝統は自分たちが受け継いでいきたい」と話した。保存会の会長は「ブランクがあったがなんとか踊りを奉納できてよかった。子どもも楽しんで踊ってくれた」と喜んでいた。

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