• 蒸し上がった酒米の熱をとる「放冷」を手作業で行う「敦賀の地酒復活プロジェクト」メンバー=18日、小浜市の小浜酒造
  • 「おいしくなーれ」とゆっくりとかき混ぜるプロジェクトメンバー
蒸し上がった酒米の熱をとる「放冷」を手作業で行う「敦賀の地酒復活プロジェクト」メンバー=18日、小浜市の小浜酒造

 福井県敦賀市内の有志らによる新しい地酒「月きよし」の仕込み作業が1月18日、小浜市の酒造会社「小浜酒造」で行われた。2~3週間かけて完成させ、3月16日の北陸新幹線敦賀開業日に鏡開きしてお披露目となる。

 敦賀の地酒は、江戸時代の1624年創業で近年まで敦賀唯一の酒蔵だった敦賀酒造が2005年で酒造りをやめ廃業し失われていた。22年7月、有志による「敦賀の地酒復活プロジェクト」が発足。クラウドファンディングで資金を集め、酒米は野坂岳の伏流水が注ぎ込む敦賀市山泉(やましみず)の田んぼで育てた「五百万石」にこだわった。名称は松尾芭蕉が「おくのほそ道」の旅で気比神宮を参拝した際に詠んだ句からとった。

 15日に蒸した酒米や米麹(こうじ)をタンクに入れていく「三段仕込み」を開始。18日は仕込み最終日で、蒸した酒米を布の上に広げ、最適な仕込み温度まで下げる「放冷」をプロジェクトメンバー7人が手伝った。メンバーは「おいしくなれ、おいしくなれ」と酒米に声をかけながら、丁寧にほぐして、熱を冷ました。適温になった米はタンクに投入し、櫂棒(かいぼう)でかき混ぜる作業も行った。

 プロジェクト発起人は「うまい酒になりそう。敦賀で酒造りがずっと続くよう考えていきたい」と話した。

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