福井県美浜町と町漁協がブランド化を進める寒ブリ「ひるが響」の出荷が同町の日向漁港でシーズンを迎えている。徹底した下処理が必要で手間がかかるため毎シーズン60匹程度しか出せない貴重な食材で、さらりとした脂と上品なうま味が特長。町漁協職員は「知名度を広げて県内外においしさを届けたい」と意気込む。
ひるが響は、水産資源を活用した地域活性化などを目的にブランド化が進められている。脂が乗る11月下旬~1月に日向で水揚げされた8キロ以上で▽生きたまま水揚げし、いけすで泳がせる「活(い)け越し」▽生臭さを抑え、身の透明感を高める「血抜き」▽神経を破壊して新鮮さを長持ちさせる「神経締め」―と徹底した処理を施した寒ブリだけがひるが響として出荷される。
町漁協によると、昨シーズンに日向で水揚げされた寒ブリは約6千匹。このうち、ひるが響として出荷できたのは70匹ほどだったという。
12月17日は、町漁協の谷口さんが、いけすで1週間泳がせストレスを取り除き、胃を空にして臭みの元をなくした13・8キロまでの13匹を処理した。エラを切っていけすで泳がせるなどして血を抜き、神経を破壊。身を引き締めるために氷入りの海水に30分漬けた後、6匹をひるが響として福井市中央卸売市場と東京の飲食店に出荷した。
谷口さんは「生臭さがなく、熟成させるとうま味が増す絶品の食材。さらなる知名度アップを図っていきたい」と話していた。
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