福井県おおい町暦会館の新収蔵品を並べたミニ企画展が1月30日まで、同館で開かれている。暦にまつわる江戸・明治時代ごろの発行物や時計など約30点を紹介。当時の生活と暦の密接なつながりが垣間見える展示となっている。
暦は日や月、季節の移り変わり、吉凶を知る上で古くから暮らしに欠かせないものだった。日本では千年以上にわたり旧暦(太陰太陽暦)が使われていたが、明治政府が1873(明治6)年から現在の太陽暦へ改暦した。
企画展では、幕末から昭和までの暦をまとめた「略本暦(りゃくほんれき)」のコレクション、太陽の位置から時刻を割り出す携帯日時計、暦の解説書である「重訂古暦便覧備考」などを並べている。広告用チラシに暦が記された「引札暦(ひきふだごよみ)」には、七福神や干支(えと)といった縁起の良いイラストが描かれている。
明治政府の改暦にまつわる史料として、改暦を定めた法令「太政官布告」を掲載した発行物を展示。改暦理由として▽旧暦はうるう月を入れないと季節とずれる▽暦に載っている占いは文明開化を妨げる―などと書かれている。改暦の不便さに対し、民間で政府の許可を得ず秘密裏に発行された「おばけ暦」も紹介。政府が禁止した占いが掲載されており、住民がいかに日の吉凶を大切にしていたのかが分かる。
午前9時~午後4時半(入館は同4時まで)。水曜、年末年始休館。高校生以上200円、小中学生100円。問い合わせは暦会館=電話0770(67)2876。
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