国指定史跡の福井県小浜市伏原の山城「後瀬(のちせ)山城跡」の調査に役立てようと、市による航空レーザー測量がこのほど行われた。精度の高い測量により過去の調査では確認できなかった堀や道の痕跡が発見され、市は今後実地での調査を進め、裏付けを進めていく方針。
後瀬山城は1522年、若狭国の守護武田元光が築城。約80年にわたり歴代国主の居城となった。1997年に国史跡に指定されている。
同城跡調査は国史跡指定に向け、87~88年にかけて航空写真による測量や発掘などを実施し、堀などの遺構を確認した。以降、遊歩道の整備や麓の若狭武田氏館跡の発掘調査は行われたが、同城跡の調査は行われていない。今回は館跡との関連性を探るなどの目的で改めて調査された。
航空レーザー測量は今年5月に実施。航空機からレーザーを照射することで、樹木などの影響を受けない精度の高い測量が行える。
測量データを使って作成した「赤色(せきしょく)立体地図」では平らな地形が白く、堀や谷などが濃い赤色で表現されている。
今回の測量で同城跡の西側にある常高寺(同市浅間)付近にある堀が縦にジグザグに重なって掘られていたことが分かった。堀自体はこれまでの調査でも確認されていたが、平行に掘られていたとされ、市の担当者は「西側には当時武田氏が敵対した丹後の一色氏がおり、防備を固めるために何度も作り直していたのでは」と推測する。このほか城跡の東側にも堀や道が作られていた可能性があることも分かった。
市は今後、赤色立体地図をもとに確認調査を進める。市担当者は「まだまだ大事な物が眠っている可能性もある。今回の結果を通じて今後の調査や研究の進展につながれば」と期待している。
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