連携協定書に署名した(左から)中山代表理事、反田副町長、獅子原部長=25日、おおい町役場

 福井県おおい町と県、ふくい水素エネルギー協議会は10月25日、嶺南地域での水素サプライチェーン(供給網)の構築に向けた連携協定を締結した。水素製造・供給の実証施設として同町内に水素ステーションを来年度中に設置し、嶺南企業への水素関連機器の導入を検討する。水素エネルギーの需要創出・活用による地域振興を模索していく。

 原発立地地域の将来像を議論する「共創会議」では、「ゼロカーボンをけん引する地域」の実現が示され、2050年カーボンニュートラル達成に向けた取り組みが求められている。協定は来年3月31日まで。1年ごとに更新する。町と県が水素ステーションの設置場所の検討や水素需要の創出、同協議会がステーションの整備・運用などを担当する。

 水素製造は、関西電力の原発から電力供給を受け水を電気分解して水素をつくる仕組み。燃料電池車(FCV)や燃料電池バス(FCバス)での活用、2025年大阪・関西万博への供給といったさまざまな用途を検討する。来年度中に町中心部での水素ステーション設置を目指し、嶺南地域では敦賀市に続き2例目となる。

 水素関連機器の普及促進を図り、本年度は嶺南地域の製造業企業などへ専門アドバイザーを派遣。製造現場において水素を使うバーナーやボイラーの導入検討を進める。

 締結式には、反田志郎副町長、県エネルギー環境部の獅子原朋広部長、同協議会の中山浩行代表理事が出席し、連携協定書に署名した。反田副町長は「(水素エネルギーの)交通・観光分野等の幅広い業種や施策への展開を視野に入れ地域の活性化につなげたい」と期待し、中山代表理事は「嶺南でいろいろな(水素)技術を基に人材育成に取り組みながら大きな地域貢献になれば」と述べた。

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