
小浜湾など地元で取れた新鮮な魚介を直売する福井県小浜市川崎2丁目の「若狭小浜お魚センター」の立ち上げに奔走した人々の挑戦を描いた「限界市場(リミット)を突破せよ」がこのほど出版された。同センターに店を構える木崎五兵衛商店(木五商店)の8代目店主木崎五一さん(1930~2025年)の軌跡をまとめ、小浜の魚文化やまちづくりの歴史も紹介している。
著者は五一さんの息子で9代目店主の信一さんと孫の妻・静さん。昨年10月に五一さんが亡くなり「センター立ち上げに関わった人も年々減っており、積み上げてきた功績を後世に残したい」(静さん)と筆を執った。静さんが信一さん夫婦に行った聞き取りや、過去の市広報紙、新聞記事などを基に約3カ月かけて執筆した。
1970年代、小浜市などが同市今宮区にあった卸売市場を現在地(川崎2丁目)に移転する計画を立てた。これに伴い、五一さんを中心とした有志は長年商売を続けてきた同区を離れ、卸売市場の移転先近くに店舗を移すことを決断した。周囲からは反対の声も強く多額の移転費が必要だった。しかし長年の経験を生かして魚を仕入れ、顧客へのサービスなど、自由に商売を続けるため市などが管理する新しい市場内で商売を行うことを拒み、自ら借金を背負う道を選んだ。不安を抱えながらも小浜の魚屋の未来を見据え行動した五一さんの思いが記されている。
1984年4月にオープンした同センターが観光名所やドラマのロケ地になるなど、多くの人でにぎわう現在の姿も紹介している。
小浜が「御食国(みけつくに)」と呼ばれるようになった背景や魚食文化、名産品などについてコラム形式で掲載した。静さんは「小浜の歴史を知ってもらい、多くの人が訪れ、小浜がさらに盛り上がれば」と話す。
A5判、116ページ。1430円。店頭やインターネット通販(電子書籍あり)で販売している。郷土資料として小浜市立図書館、県立図書館などに寄贈した。
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