
市文化財に指定された佛國寺の「木造阿弥陀如来坐像」(市提供)
市文化財に指定された小浜灯台のホヤ(市提供)
ホヤが設置されていた小浜城天守台の小浜灯台(市提供)
市文化財に指定された佛國寺の「木造阿弥陀如来坐像」(市提供)
福井県小浜市は、明治時代に小浜城天守台に設置されていた小浜灯台の光を目立たせるための設備「ホヤ」と、佛國寺(伏原)所蔵の仏像「木造阿弥陀如来坐像」の2点を市指定文化財に追加した。江戸から明治の変革期に造られた灯台のホヤは希少で、小浜の近代化を知る上で貴重という。佛國寺の仏像は、同寺の由緒や周辺地域の発展を知る上での重要な手がかりと評価された。
ホヤは中国から輸入されたといわれ、同城址(じょうし)に創建された小浜神社(城内1丁目)が保管していた。高さ32センチで4枚の赤いガラスで形作った球体の下部に足が付いている。内部に火をともすことで光を目立たせることができる。光を増幅させたり、明滅するような機能はついていない。
小浜灯台は1879年から1914年まで天守台に設置され、北前船など小浜を訪れる船にとっての目印となっていた。市担当者は「灯台はかつての目印だった小浜城の天守閣がなくなり、当時の人々が安全な航海ができるすべを考えた成果。近代の小浜の港としての姿を伝えてくれる」と話す。
佛國寺の仏像は高さ27センチの一木造りで、同寺の旧本尊とされる。今回の市文化財指定に向けた調査で950~1000年ごろ制作されたことが分かった。表情や溝の彫り方など平安時代前期の様式の特徴が表れている。
同寺は室町時代後期の1502年、若狭国守護職の武田元信が父親の菩提寺(ぼだいじ)として創建したといわれる。判明した仏像の制作年代や古文書などを踏まえ、担当者は「少なくとも平安時代前期には前身となる寺院があり、武田氏はその寺院を再興して菩提寺にした可能性がある」と分析する。
追加は4月1日付。市指定文化財は118件、県や国指定を含めると269件となった。
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