
水上さんが集めた絵画26点を紹介している収蔵品展=おおい町岡田の「若州一滴文庫」
おおい町出身の直木賞作家、水上勉さん(1919~2004年)が収集した絵画を紹介する収蔵品展「花のころ」が、同町岡田の若州一滴文庫で開かれている。小説の装画や挿絵を担当するなど、水上さんとゆかりのあった画家が「花」をテーマに描いた油彩や水彩画26点を展示。水上さんが筆を取り花をデザインしたポストカードなども並んでいる。5月12日まで。
水上さんは生前、美術作品を集め、美術作家の知り合いも多かったという。一滴文庫では水上さんが町に譲った約500点の収蔵品から、毎年数十点ずつ公開している。
故金子太郎さん(略歴不明)の油彩画「秋の花」は小説「人の暦 花の暦」(1981年)の装画で、花瓶に挿し入れられた多彩な花が20号のキャンバスいっぱいに鮮やかな色合いで描かれ、迫力がある。
画家の故朝倉摂さん(東京都)は新聞連載された小説「櫻守」(1969年)の挿絵を担当。桜のかれんな花びらや、散った後の木をペンと水彩で描き上げ、さまざまな桜の姿を表現している。
このほか、知り合いだったという画家の故秋野不矩(ふく)さん(静岡県)の水彩画「彼岸花」や、故須田剋太さん(埼玉県)が絵の具「グワッシュ」を使い、高く伸びた塔と並び咲くツバキを描いた作品などを公開。水上さんとゆかりのある作家が表現した多彩な花が来館者の目を引く。
絵に興じていた水上さんがコスモス、アケビなどを描いたポストカード、花の絵と一言添えた陶器の皿も展示。柔らかい筆致でかわいらしい花を咲かせており、多才な一面が垣間見える。
一般300円。高校生以下は無料。午前9時~午後5時。火曜休館。
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