
「岳颪」誕生30周年の記念誌を発行した「今富酒造り体験事業」の森下会長(右)ら=小浜市今富コミュニティセンター
福井県小浜市今富地区住民が地元の地下水や酒米を使って仕込む地酒「岳颪(やまおろし)」の誕生30周年記念誌が発刊された。これまでの活動を記録した写真や新聞記事などを掲載、こだわりの酒造りの歩みをまとめた。醸造に取り組む地元団体「今富酒造り体験事業」の森下会長は「酒造りという地区の取り組みを世代を超えて知ってもらいたい」と話す。
「岳颪」は同地区で育てた酒米「五百万石」と地元の地下水を使った生酒で、ぴりっとした辛口の味わいが特徴。出来上がった酒は同団体の会員に配られるほか、小浜市内のスーパーや道の駅などでも少数だが販売されている。
事業は地元の酒米や水を使った酒を造ろうと1994年に始まった。地区内にあった酒造会社「わかさ冨士」が醸造を担当し、会員は作業の手助けなどを受け持った。2017年からは同市の小浜酒造が引き継いだ。
記念誌は編集委員会を立ち上げ、昨年6月ごろから本格的に資料収集を行ってきた。同団体の役員や小浜酒造の社長、元会長や元公民館長らのコメントを集約。今富コミュニティセンターで保管していた資料や元会員のアルバムなどから、醸造作業や研修旅行などの写真、各年の役員体制や初しぼりなどの日付を詳細にまとめた。
森下会長は「岳颪を楽しみにしている人も多く、地域になくてはならない存在になった。酒造りに参加したいという若い人が増えてくれたら」と願った。
A4判で67ページ。200部を作り会員らに配った。今富コミュニティセンターがコピー判を配布している。
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