福井県若狭町の水月湖で6、7月に湖底堆積物「年縞(ねんこう)」の掘削が行われるのに合わせ、同町海山の同湖岸を発着する観光船「レイククルーズ」は掘削現場を見学できる特別運航を行う。湖に浮かべられたやぐらでの作業を間近で見ることができる。予約を受け付けている。
年縞は1年に1枚ずつ堆積する特殊な地層で、水月湖には7万年分で45メートルある。含まれる花粉や元素組成を調べることで当時の気候が分かる。6、7月の掘削は2014年以来11年ぶり。気候が慢性的に不安定化し、世界各地で災害が頻発する気象状態「暴れる気候」のメカニズムを解明する国内外の機関による研究プロジェクトの一環で行われる。
同観光船は旧三方町が00年に海山漁協に委託して営業を始め、11年からは同漁協が若狭町から船などの譲渡を受けて運航。昨年4月からは一般社団法人「若狭路活性化研究所」が運営している。冬季休業の1、2月を除き、普段は1日4便が水月湖と菅湖を巡っている。
特別運航は6月3日~7月10日に県年縞博物館の協力を得て行う。20人以上の団体客を対象に、予約があればやぐら近くに止まって掘削作業を見学し、同法人スタッフや同館のナビゲーター経験者が解説する。下船後は発着場の駐車場で、掘り出した年縞を切ってサンプルを採取する作業も見学する。
研究プロジェクトは、同館研究マネジャーの立命館大の中川教授が代表を務めている。同館によると、中川教授がこれまで水月湖年縞の掘削を依頼してきた技術者が今回で引退するため、中川教授が同年縞の掘削に関わるのは今回が最後となる。
同法人の担当者は「世界的にも品質が高い水月湖年縞や自然豊かな三方五湖について多くの人に知ってもらいたい」と期待している。
特別運航の料金は1人1620円(小学生810円、幼児無料)。不定休。問い合わせは同法人=電話0770(47)1747。
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