福井県美浜町若狭国吉城歴史資料館で秋季企画展「城と文学~紫式部は来なかったけど…~」が開かれている。難攻不落の城として名をはせた国吉城の歴史を今に伝える軍記「国吉籠城記」と同城跡の調査を通じ、戦国時代の城の様子や籠城戦の実像に迫っている。1月26日まで。
国吉城は戦国時代、若狭武田氏の家臣・粟屋越中守が築いたとされる山城。同軍記は主に、永禄6(1563)年から繰り広げられた越前朝倉氏と粟屋氏の国吉城での攻防戦がまとめられている。企画展はNHK大河ドラマ「光る君へ」の効果で、主人公の紫式部が執筆した「源氏物語」をはじめとする古典文学に注目が集まっていることを受け企画した。
同軍記によると、永禄6年9月、朝倉勢の侵攻に対し、粟屋勢は籠城の用意をする時間を稼ぐため、若狭と越前の国境だった関峠で鉄砲を撃ち込むなどし迎撃。準備が整うと関峠の兵を呼び戻したという。城の守りは三方が険しい斜面だったことなどが詳細に記されている。
2000年度から町が始めた国吉城跡の史跡調査では、1583年以降に石垣が造成され、戦いのための城から大名権力の象徴としての城に改修されたことが分かったと紹介している。水野佑一学芸員は「軍記は争乱に関わった武将の武功や名声を記録した点に文学的特徴があることを展示で感じてほしい」と話していた。
毎週月曜と年末年始は休館。入館料は一般100円、中学生以下50円。問い合わせは若狭国吉城歴史資料館=電話0770(32)0050。
(※福井新聞社提供。無断転載を禁止します。記事に関するお問い合わせは福井新聞社へ。)