冬の人気の味覚で、敦賀湾で養殖されている福井県敦賀市のブランド魚「敦賀ふぐ」が今夏の猛暑による高水温で多くが死んでしまい、今季の出荷量は例年の約3分の1に落ち込む見通しとなっている。通常、出荷は県外が中心だが、今季は県内のみに制限した。若狭地方の「若狭ふぐ」も宅配サービスなどを行う小浜市の組合で出荷が半分になる見込みという。
敦賀市西浦地区は県内最大の養殖トラフグ産地。市海水養魚協会に加盟する7軒が市のブランド魚として、敦賀ふぐを育てている。1年半ほどかけて体長約40センチ、重さ1キロ前後に成長する。出荷は例年、関西圏を中心とした県外が8割、県内が2割を占める。
漁師らによると、2022年シーズンまでは例年約6万匹を出荷していた。しかし昨季は高水温の影響で死んでしまうフグが多く、約4万匹に減少。今季はさらに約2万匹まで減る見通しとなったため県外出荷を断念し、県内の飲食店や旅館に向けて出荷している。
敦賀ふぐは例年、県内外の料理店などで刺し身や鍋などで提供されており、漁師の寺元さんは「これだけ少なくなるのは初めて。県外出荷ができないのは残念だが、状態は良く、大きさも例年並み。県内で多くの人に味わってもらいたい」と話している。
若狭ふぐの宅配サービスなどを行う小浜市の阿納ふぐ組合は、例年1万匹を民宿、小売りで提供しているが、今季は半分の5千匹に落ち込む見通し。10月から宅配サービスなどが始まったが、水揚げ量は注文に対しぎりぎりの状態が続いているという。同組合の河原さんは「海水温がようやく落ち着いてきてフグが成長してきた。ただ、今入っている注文と、民宿での提供で手いっぱい。厳しい」と話した。
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