シイラを使った商品を考案し、試食する生徒=10月、小浜市の若狭高海洋キャンパス

 福井県小浜市の若狭高で、官民と連携し探究学習に取り組む「協育」が進められている。本年度は企業とともにシイラを使った水産加工品の商品開発など2事業を進めている。将来的に地域課題を解決できる人材育成につなげていこうと模索している。

 若狭高は2021~23年度、高校と産業界が一体となって次世代の地域産業の人材育成を目指す文部科学省の「マイスター・ハイスクール」に指定された。同校は、海ごみをリサイクルし箸づくりに活用することなどを行った。3年間の指定終了後も事業を継続していこうと本年度から同校独自で「協育パートナーシップ」事業を開始した。

 本年度は2事業が進行中。一つは水産加工業「小浜海産物」(同市)と2年生4人によるシイラの商品開発。シイラは温暖化の影響で近年、若狭湾などでも漁獲量が増加しているが鮮度が落ちやすく値が付かないため、地元消費での活用策が模索されている。生徒は、燻製(くんせい)風味を付けたシイラをオリーブオイルとニンニクに漬けペペロンチーノ風の加工品にすることを考案。ニンニクの量、コストを考えながら試作を重ねた。清水浩晴さんは「シイラのおいしさが広まれば」と意気込む。

 同社の森専務は「若い人の発想は企業にとっても新しい発見につながる」と、来春の商品化に向け準備を進める。

 もう一つは、おおい町のPR事業。生徒2人が交流サイトで若者向けに町の魅力を発信。町職員と各スポットを巡り、写真や文を投稿している。

 若狭高は今月12日、県内外の企業や行政、大学など約30団体を集めて、活動への協力を求めた。担当の毛利誠教諭は「地域のウェルビーイング(幸せ実感)実現へ、産学官の理解を得て活動を広げていければ」と呼びかけている。

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