仁愛大(越前市)の人間生活学部子ども教育学科の教授と学生が、福井県小浜の名産品である小鯛のささ漬けをテーマにした絵本「若狭小浜小鯛ささ漬物語」を製作した。ささ漬け誕生の歴史や背景を学生によるかわいらしい絵で紹介している。教授は「豊かな歴史と食文化を持つ小浜だからこそ製作できた。ぜひ読んで」と話している。
製作したのは伊東教授と研究室で学ぶ5人。絵本製作は地域の伝承を後世に伝えようと2017年から取り組んでおり、越前市の越前和紙や大野市の半夏生サバ、でっちようかんなどをテーマに製作してきた。
今回は小浜市からの依頼もあり、昨年4月から製作をスタート。学生も小浜で工場見学や試食、現場の人への取材なども行ってきたという。
絵本は、正月に小浜に住む祖父母の家に訪れた孫が食卓に出てきた小鯛のささ漬けに興味を持ち、祖母から話を聞くというストーリー。小浜から多くの海産物が鯖街道で京都に運ばれていたことや、商品にならず捨てられていた小型のレンコダイを有効活用しようとささ漬けが誕生したことなどを紹介している。絵は学生が分担して描き、それぞれの画風の違いも楽しめる。
伊東教授は「子どもたちが地元の豊かな食文化を知り、誇りを持ってもらえれば」と話した。
A4判20ページ。1600部発行した。一般向けの販売はしていない。約500冊が小浜市に寄贈され、市は小学校や保育園などに配布したほか、子どもを対象に絵本の読み聞かせ、ささ漬けの試食イベントも計画している。市の担当者は「ささ漬けは贈答向けで、めったに食卓に出ることはなく、子どもが食べることも少ない。まずは絵本を通じて名前だけでも知ってもらえたら」と話した。
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