• 滝見古墳群の19号墳で見つかった改変された横穴式石室=4日、おおい町野尻
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滝見古墳群の19号墳で見つかった改変された横穴式石室=4日、おおい町野尻

 県埋蔵文化財調査センターが福井県おおい町野尻で発掘調査中の「滝見(たきび)古墳群」で、横穴式石室の壁や天井などの石が動かされ、入り口とは別の場所から遺体を追加で埋葬したとみられる改変跡が見つかった。同センターは「複数の遺体を入れることは横穴式ではよくあるが、入り口でない所から入れるのは全国的には珍しい」としている。

 滝見古墳群は、古墳時代後期(6~7世紀)に佐分利川下流域の有力者により造営された群集墳。現在は23基が残存している。舞鶴若狭自動車道の複線化工事に先立ち、工事範囲内にある18、19号墳の2基の初の発掘調査を同センターが今年5月から開始した。

 同センターによると、19号墳は、長さ約5・1メートル、幅約1・1メートルの無袖型横穴式石室。石室は現在地表に露出しているが、かつては古墳の土に覆われていたとみられる。

 調査で、石室奥は▽壁の石の積み方が粗雑▽天井を造る大きさ1メートル以上の「天井石」が壁に移動されていた。遺体があったとみられる部分は上下に2層床があることから、2体遺体が安置されていたとみられる。このことから同センターの担当者は「石室奥の壁や、天井の石を動かし(地上につながる穴を設け)2人目の遺体を埋葬したのではないか」と推測する。

 遺体を追加で埋葬する「追葬」は石室入り口から行うのが一般的なのに対し、壁に穴を開けるやり方は珍しく「石室入り口が狭いこともあり合理的」と分析している。

 副葬品とされる須恵器のふたや鉄刀が見つかっており、担当者は「当時の村の社会的身分が高い人が埋葬されていた可能性はある。今回の発見が古墳時代の埋葬方法を知る手がかりになれば」としている。

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