湖をテーマにした特別展「湖 湖底の年縞(ねんこう)・湖畔の生業」が福井県若狭町の県年縞博物館と、隣接する同町若狭三方縄文博物館の両館で開かれている。それぞれ年縞編、歴史編と題し、水月湖年縞などの最新の研究成果、縄文時代から現代までの湖と人の関わりを紹介している。10月2日まで。
県年縞博物館では、研究成果を8テーマ紹介。年代や過去の気候が調べられる花粉を、年縞から抽出できるようになった技術開発などがある。分析に用いた実験試料なども展示しており、長屋憲慶学芸員は「実際に研究者が使った試料を見ることができるのは貴重」と話す。
水月湖から掘り出した本物の年縞に触れられるように透明な樹脂で固めた標本と、同湖の湖底を360度で体感できるVR(仮想現実)映像もあり、ともに今回が初公開。標本は時代ごとに6ペア12本あり、しまを合わせたり観察したりして楽しめる。VR映像は湖底にプランクトンや黄砂が積もり年縞ができていく様子を見ることができる。
若狭町若狭三方縄文博物館では「縄文から現代までのレイクフードを捕る技術」と題し、水月湖や三方湖で昭和時代に使われていた大きさがそれぞれ異なるたも網や、縄文時代早期から晩期の低湿地遺跡「ユリ遺跡」(同町鳥浜、向笠)から1990年に出土した丸木舟などを展示。伝統漁法の「ウナギ筒漁」はウナギが細長い場所を好む習性を利用していることや、「たたき網漁」は水温が低下し動きが鈍った魚を驚かせ、刺し網に追い込む工夫が見られることなどを伝えている。
湖、海、川の生物のフィギュアがちりばめられたジオラマもあり、日本固有の生物ではないものを探し当てるクイズになっている。学芸員は「魚の特性に合わせて漁具の作りを工夫しているところに着目してほしい」と話していた。
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