伝統野菜「杉箸アカカンバ」の実と葉で作ったパウダー。左は実のパウダーを溶かした水=敦賀市杉箸

 福井県敦賀市杉箸の伝統野菜「杉箸アカカンバ」を使った天然のパウダーを、地元生産組合が同市のふるさと納税の返礼品として商品化した。昨年の秋まきが不作で、量を必要としないパウダーに加工して販売することを思い立った。山口代表は「伝統野菜を絶やさないためにあらゆることに挑戦したい」と力を込める。

 杉箸アカカンバは赤カブの一種で、杉箸で150年以上、守り育てられてきた。深い赤色の実が特徴で、都内のレストランや敦賀市内のJA直売所などに出荷されている。

 秋まきのアカカンバはこれまで漬物などに加工してふるさと納税の返礼品として出荷してきた。しかし、昨年の秋まきは猛暑や水不足の影響で生育不良に。収穫量が例年の20分の1ほどになり、漬物にする量が確保できなくなった。

 パウダー作りは、10年ほど前、県外の業者と取り組んだアカカンバのパウダーを練り込んだパン生産の経験を生かした。昨年12月に低温乾燥機にかけて実や葉を粉砕器で砕いて仕上げ瓶詰めしていった。

 山口さんによると、バターなどと一緒にお湯と混ぜてスープにするとおいしいという。水割りの焼酎に溶かすと赤い彩りを楽しめる。市のふるさと納税の返礼品として10月ごろに専用サイトに登録される。

 生産組合はこれまで地元高校生と杉箸アカカンバを使ったボルシチ風スープを開発するなどしてきた。今回は生育不良の中で考えた“苦肉の策”で、山口さんは「漬物が出荷できないなら、ほかのものをと考えた。料理研究家や料理好きな人に興味を持ってもらえれば」と話す。

 実と葉それぞれ一瓶30グラムのパウダーを3500円(税込み)でセット販売する。当面は30セット限定。一般販売も検討しており、問い合わせは山口さん=電話090(8266)1048。

(※福井新聞社提供。無断転載を禁止します。記事に関するお問い合わせは福井新聞社へ。)