高浜町でかつて使われていた明治~昭和期の農具や民具約40点が並ぶ共同展=高浜町文化会館

 明治~昭和期にかけ、福井県高浜町で使われていた民具や農具を紹介する企画展「民具の高浜」が、高浜町文化会館で開かれている。町郷土資料館と京都の大学生有志による共同展。当時、町は漁業だけでなく農業も盛んだった史実を農具などや文献調査を紹介するパネルで伝えている。5月19日まで。

 共同展に参加したのは京都芸術大芸術学部歴史遺産学科の4年生5人。このうちの1人が、昨夏同資料館を訪れた際、同資料館の学芸員と民具について話して意気投合した。学生らが同級生らに声をかけ同館へ赴いたところ、展示されず眠ったままの民具があると知って共同展を開くことに決まった。学生は定期的に資料館に訪れ、民具の清掃や調査、町内の民家を回って史料となる民具を収集した。

 展示では約40点を並べる。町指定文化財で昭和初期の「船大工道具」は造船専用のもので、船くぎを打つ穴をあける道具のツバノミほか漁船の図面とその一部と思われる木板も紹介している。

 町内には島根県から取り入れた縄ない機、埼玉県で製造された足踏み脱穀機などがあった。流通網を駆使して仕入れるほど、農業に力を入れていた実態を伝える。また穀物と殻を風力で分離する唐箕(とうみ)には、「高級」と記されていることから、道具にもこだわっていたことがうかがえる。町内には綿繰り機や糸車も残されており養蚕業も盛んだったことを伝えている。

 このほか、学校机ややぐらこたつ、酒瓶など生活で使われた道具も並ぶ。

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