• 試験販売を受け生食で提供されるマガキ=27日、若狭フィッシャーマンズ・ワーフの海幸苑
  • 試験販売が始まり提供されたマガキ=27日、若狭フィッシャーマンズ・ワーフの海幸苑
試験販売を受け生食で提供されるマガキ=27日、若狭フィッシャーマンズ・ワーフの海幸苑

 福井県小浜市漁協、県立大などが連携し取り組む、小浜湾内で採取したマガキの種苗を使い養殖した“純小浜産”マガキの事業者向けの試験販売が始まった。大型連休終わりごろまで市内飲食店で生食メニューで提供している。湾内の豊富な栄養で1年未満でのスピード出荷が可能となり、本格販売は来春を予定。従来出荷と合わせ年間を通し小浜産カキが楽しめるようになる。

 同市のカキ養殖は、県外から取り寄せたマガキの種苗をホタテの貝殻などに付着させて育てる「カルチ方式」が主流。種苗から養殖まですべて小浜産のカキを目指そうと、2022年夏から地元の「若狭かき」を使った採苗、養殖を開始した。

 生育を妨げる不要物が付着しない利点がある専用かごを使った「シングルシード方式」で養殖。昨夏には、県立大から採苗機の提供を受け、種苗数増加に着手したことで、試験販売にこぎ着けた。

 栄養豊富な湾内で育てるため成長が早く、通常2~3年かかるところを約7カ月で出荷サイズまで成長。1個あたり60~90グラムで、雑味が少なくクリーミーな味わいが特徴。産卵時期を経ないため、栄養も凝縮されている。今後は種苗数を前年度比の20倍となる約3万個に増やし、来春から本格販売する予定。

 同漁協ではこれとは別に、広島県産の高水温に強いとされる種苗を使ったマガキ養殖にも成功。今秋から冬にかけた本格販売を予定している。同漁協組合員の松下さんは「夏のイワガキ、冬の若狭かきと合わせ、年間を通して小浜産のカキを味わってもらいたい」と話した。

 試験販売先の提供店舗は、若狭フィッシャーマンズ・ワーフ内にあるレストラン「海幸苑」(川崎1丁目)と居酒屋「大」(駅前町)。

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